さて、今回の記事では私が実際に行った自己破産手続きの経験を交えながらお話しします。ただ、一点注意していただきたいのですが、あくまでも私の経験ですので、必ず同じように手続きが進むとは限りません。また、それぞれの都道府県の裁判所によって運用が異なることもあるかと思いますのであくまで参考としていただくようあらかじめご了承ください。
自己破産は任意整理、個人再生とは異なり、裁判所に認められれば借金すべて免責、つまりチャラとなります。ただし、必要最低限の資産以外はすべて処分の対象となります。
私は自己破産の手続きを行うために弁護士へ相談に行った際、銀行の預金残高はほぼなく、クレジットカードの引き落としができずに督促が来ている状態でしたが、資産が0であるかと言うと、実はそうではありませんでした。
まず、一番大きな資産として車を所持していました。私が社会人1年目の時に新車で頭金なしの残価型ローンを組んで購入しました。記憶では月々2万ちょっと、ボーナス月には10万円程度返済をしていた気がします。ローンは7年かけて完済し自己破産時には所有権は自分にありました。
その他にあったものが個人年金でした。年間で10万円程度でしたが親の勧めで数年間契約していたものです。最近知名度が上がってきたiDeCoは差し押さえ財産の対象にはならないのですが、個人年金は自己破産の際に解約する必要があります。ちなみに保険も貯蓄型保険の場合は解約が必要です。いわゆる解約返戻金がある保険商品は解約しなければなりません。
この個人年金は弁護士への相談直後に解約し、解約返戻金のおよそ40万円弱は弁護士費用に充てました。この時不安だったのが、解約返戻金の金額が大きかったため、処分対象になってしまい、弁護士費用として充てたつもりが債権者への返済に充てられてしまうのではないかという点でした。
当時ネットで調べると自己破産手続きを行うにあたり、解約返戻金等で得た大きな一時所得を弁護士費用に充てる等するのは良くないと書いてありましたので、弁護士さんにもどうなりますかと相談したのですが、「裁判所の判断によりますがもしかしたら破産管財人が設定され、管財人費用になる可能性もあります。」とのことでした。
ただ、実際のところは裁判所から特に何も言われることはなく、破産管財人もつくことなく同時廃止となりましたので、そのまま弁護士費用として充てることができました。
そして一番大きな不安要素が車の行方です。
実は私の職場が交通機関では通勤が難しい場所にあり、自動車通勤でした。それでも車で約1時間かかり、公共交通機関で通勤しようとするとおそらく2時間程度かかるでしょう。そのため、できれば車は手放したくないですと弁護士さんに相談しておりました。
通常、自動車を所有している場合は売却して、その売却額を債権者へ分配して返済しなければなりません。それができなければ、個人再生を選択する必要があります。弁護士さんにも、とりあえず自己破産で手続きを進めて、車を売却しなければならなくなった場合は個人再生に切り替えましょうと言われました。
結論から言うと、私の場合は車を売却することなく、所有したままで自己破産を行うことができました。これは私の住んでいる県の裁判所での運用方法らしいのですが、購入から一定の年数が経っている、かつ、購入金額が極めて高額な高級車ではない、日常生活に必要である、などの条件を満たして裁判所に認められれば所有を認められます。そもそも購入からある程度の年数が経っていれば資産価値はほぼないものとしてみなされるようです。
これは私にとってかなり助かるものでした。やはりどうしても仕事に車が必要でしたので、最悪の場合、一旦は売却し、あとから貯金しめちゃくちゃぼろぼろの中古軽自動車を購入しなければならないかと考えていました。
ただし、これはそれぞれの都道府県によって運用方法が異なると思いますので担当弁護士さんにしっかり相談されることをお勧めします。
自己破産を行うとすべてを失うと思われがちですが、このように条件によっては車を持ったまま自己破産できるという特殊なケースもあり得ます。
私自身、かなり借金に悩み、本当に苦しい生活でしたが、自己破産を行うことで生活の再建ができています。もちろん自分自身の考えの甘さや無計画さが大きな原因ではあるのですが、本当に困ってしまった場合には認められた制度を利用することも悪いことではありません。
これ以上むやみに借金を増やすことになったり、追い詰められて誤った選択をすることがないよう、早めに行動を起こすことが重要です。悩んでいるのなら、ぜひ債務整理を検討してください。これからも私の経験を踏まえながら情報発信していきますので、少しでも今悩まれている方の手助けになればと思います。
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